2005年08月18日

クリント・イーストウッド「ミリオンダラー・ベイビー」

「ミリオンダラーベイビー」を観た。イーストウッドらしい傑作。前半までは、ヒロインのヒラリースワンクがボクサーとして大成していく、まさにハリウッド映画という感じのサクセスストーリーが展開されていくのだが、後半からは急転。あまりにもやるせないエンディングへと収斂していく。(今作はヒラリースワンクのための映画といってもいいほど、彼女が輝きまくっていた。まずあんまり美人じゃないところがいいやね、感情移入しやすいというか。アカデミー賞、異論ないんじゃないでしょうか。)

前作「ミスティックリバー」もそうだったけど、イーストウッドはそういう「やるせない」思いを真正面からとらえることのできる希有な才能を持っている。自身は「ダーティーハリー」のような、勧善懲悪の典型的作品に出演しまくってきたにもかかわらず、「ハリウッド映画」の流れに真っ向から逆らうようなすさまじい映画を監督している。あれを才能と言わずしてなんと言おう。74歳。故・石井輝男より7つも年下。まだまだたくさんの映画を撮ってくれるだろうから、ハリウッドも安泰だ。

「優れた監督はまた、優れた役者でもある」とはよく言ったものだ。日本では北野武、塚本晋也、伊丹十三、竹中直人なんかがそう。強烈な個性をもった役者こそが、強烈な世界観を体現できるのかもしれない。だから怪優の神戸浩とか、案外とてつもない映画を撮っちゃうんじゃないだろうか、と期待してしまう。

関連記事

「神戸浩のプロフィール」
http://dir.yahoo.co.jp/talent/6/m93-1016.html



posted by ワイ氏 at 18:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月16日

「ヒトラー最期の12日間」

「ヒトラー最期の12日間」を観る。ソ連軍がベルリンに侵攻しはじめてから、ヒトラーが自殺し、ドイツが無条件降伏するまでを、二時間半にわたって濃密に描ききった作品である。

映画の中心的な舞台は、そこかしこに死体が転がるベルリン市街ではなく、ヒトラーが隠れていた地下施設。閉塞的な空間に身を置き、勝ち目のない現状から目を背け、半ば錯乱しながら、妄想でしかない自らの戦略をまくしたてるヒトラー。その姿にもはやかつての勢いはない。指揮系統は麻痺し、ベルリンの腐臭はますます広がっていく。ベルリン制圧まで、もって20時間。参謀のささやく声に、もう終わりだと悟ったヒトラーは、愛人エヴァ・ブラウンとともに自殺する。

ヒトラーの秘書ユンゲを中心に進行する映画ゆえ、ユダヤ人虐殺についてはまったく触れられない。ので、ヒムラーやゲーリングなど、ユダヤ人に悪魔のような仕打ちをした側近達が、困った独裁者を抱える普通の人間として描かれていたのは新鮮。人間として描いたことで話題となったヒトラーの性格は、手塚治虫「アドルフに告ぐ」におけるそれに近かった気がする。

まあなにより、ヒトラーを演じた名優ブルーノ・ガンツが素晴らしかった。ダウンタウン松本人志が、さんざん憎んだ父親の弱りゆく姿を見て、「5秒で殺せる」と感じたような、そんな切ない立ち姿を見事スクリーンに具現化させたのである。

地下施設内部の視点から、骨太に史実を切り取った作品。見応えはある。良くも悪くもNHKのドキュメンタリーという感じであった。
posted by ワイ氏 at 03:39| Comment(0) | TrackBack(1) | 洋画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月14日

生瀬勝久と映画

生瀬勝久。いまもっとも気になる役者のひとりである。大きな目をさらに見開いて、これでもかと笑いをとってくる三枚目ぶりも見事だが、シリアスな役どころもなんなく演じてみせるところに、役者としてのただならぬ力量を感じる。

テレビドラマ、演劇においては、いまや顔を見ない日はないほどの人気ぶりだが、こと映画においては目立った活躍をみせていないように感じる。堤幸彦「劇場版トリック」は例外として、わたしの記憶にあるのは「トキワ荘の青春」における端役ぐらいしかない。あれだけの多忙ぶりからして、拘束時間の長い映画の仕事は物理的に難しいところもあるのかもしれない。

しかし、三谷幸喜の新作映画「THE有頂天ホテル」にて、いよいよ「映画俳優・生瀬勝久」が誕生する(はず)。三谷幸喜は役者へのダメ出しが厳しいことで知られているが、真田広之、唐沢寿明、生瀬勝久については、つねに手放しで、全幅の信頼を寄せているそうだ。そんな愛されぶりからして、今作ではきっと生瀬の熱演がたっぷり観られるに違いない。そろそろクランクアップらしいので、今から公開が楽しみ!

関連記事

「THE有頂天ホテル」公式サイト
http://www.uchoten.com/

参考文献

「三谷幸喜のありふれた生活」
posted by ワイ氏 at 06:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 邦画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サム・ライミ「スパイダーマン」

なぜ「死霊のはらわた」の監督サム・ライミがヒーローものを?って思いだけが原動力になって観ただけだったので、さして期待もしてなかったけど、やっぱりすごい。ハリウッドはこうでなくちゃ。脳みそなしで、何も考えないで味わえる快楽がここにある。すごく面白かった。

ガリ勉でいじめられっ子のトビーマグワイアが、遺伝子操作されたスーパースパイダーに噛まれ、信じられないパワーを手に入れる。そして自分でデザインした「スパイダー」のコスチュームを身に纏い、ニューヨークにはびこる悪い奴らを懲らしめていく話。ちょっと前に「俺はスパイダーマンだ!」と叫び、ビルをよじ登ってた人が現実にいたけど、その気持ちもわかる。スパイダーマンは世界のインドア達の憧れの的なのだ!

キャラクターもぶっ飛んでて素敵だ。特にヒロインが素晴らしい。おそらく全世界の女子を敵にまわすであろう、最低な女なんである。高校時代はガキ大将とつきあってて、トビーには高嶺の花だった彼女。卒業後にはトビーの親友と付き合っていたのだが、窮地をスパイダーマンに救ってもらい、そこでべた惚れ。にもかかわらず結局、最後まで彼女のそばで優しくしてくれたトビーに告白するという始末。30分に1回は他の男に振り回される、自主性ゼロの女の子。こんなヒロイン久々に見た。

こんなマンガっぽいキャラがうようよいるもんだから、多用されるCGも違和感なく受け入れられる。演出もいい。悪役のウィレム・デフォー(いい顔をしている!)が、天井からしたたる血の音で、スパイダーマンの正体に気付き始めていくっていうシーンなんかすげえインパクト。ニューヨークを縦横無尽に飛び回るスパイダーマンの活躍ぶり、必見です。

posted by ワイ氏 at 05:19| Comment(0) | TrackBack(1) | 洋画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月12日

石井輝男を悼む

2005年8月12日、日本映画界の巨星が落ちた。石井輝男。享年81歳。奇しくも、亡くなる6時間前に「恐怖奇形人間」の記事を載せたところだった。まだまだ撮ってほしかった、ホントに。日本カルト界に与えた衝撃は大きい。

「網走番外地」をはじめとした黄金時代作品から、「ねじ式」など後期のカルト傑作まで、作品の多様ぶりにあらためて驚く。遺作は「盲獣vs一寸法師」になるのだろうか。スタッフがほぼ素人、かつデジタルビデオ作品ながら、秀逸なカット割りを駆使し、独特の世界観へぐいぐい引き込んできたのはさすがだった。


80歳を越えてもなお、貪欲に映画に取り組むさまは、彼を敬愛するサブカル少年少女のみならず、現代に生きる映画作家たちすべてにエネルギーを与えてくれたはず。
これをきっかけに、といったら失礼かもしれないが、石井輝男の全仕事を再評価していくために、傑作「恐怖奇形人間」がDVD化され、ひろく一般の人に観られるようになってほしいものだ。

石井監督からうけた刺激は計り知れません。ご冥福をお祈りいたします。

関連記事

「アサヒドットコム」
http://www.asahi.com/obituaries/update/0812/001.html?ref=rss

「東京シネマのぞき見隊」
http://www.walkerplus.com/tokyo/latestmovie/report/report1281.html
posted by ワイ氏 at 19:53| Comment(0) | TrackBack(1) | 邦画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

石井輝男「恐怖奇形人間」

石井輝男「恐怖奇形人間」。内容の都合上、残念ながら現在までビデオ化されていないが、とんでもない映画である。なにがとんでもないかってとにかくエンディング。言葉では言い表せぬほどの衝撃。石井輝男はこのエンディングを撮るためだけにこの映画を作ったのは間違いない。もしどこかで観る機会があれば、ぜひ自分自身の目で体験していただきたい。20世紀映画史に燦然と輝く革命。今こんな映画を撮れたら確実に天下をとれるだろう。

この映画のベースは江戸川乱歩「パノラマ島奇譚」。前半はしっかりとしたドラマが描かれている。いくつものありえない偶然が積み重なって加速度的に物語が展開していくのが石井輝男脚本の特徴。今作も例外でなく、ものすごい偶然が主人公をピンポイントに襲うことで話が進む。

白眉は後半だ。江戸川乱歩シリーズに欠かせない名探偵が登場するあたりから、映画に不穏な空気が流れ始めていく。観る者がいままで感情移入してきた主人公の男がなりをひそめ、名探偵がどんどんでしゃばりだす。妄想としか思えない推理が100%の精度で的中。ひるむ悪役。突如あらわれた怪しい探偵の饒舌ぶりに苦笑いする観客をほったらかしたまま、なにかに追われているかのように話が急転。そして誰に感情移入することもできなくなり、気持ちが宙に浮いた刹那、突如襲いかかるエンディング。これまでに交錯した様々な思いが、打ちあがる花火とともに木っ端微塵に破壊され、究極レヴェルのカタルシスが我々を包み込むのだ。

こんな映画を産み落としてくれた石井輝男に心から感謝したい。「恐怖奇形人間」は間違いなく、20世紀が誇るべき遺産である。現在、脚本だけは売られているのだが、ぜひともDVD化してほしい。いろんな問題はあるのだろうが、なにしろ「面白い」のだから。輝男マニアはみんな「おかーさーん!」と叫びたいのだ!


関連記事

「たのみこむ」
http://www.tanomi.com/metoo/syusei.html?kid=2758
posted by ワイ氏 at 03:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 邦画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

向井秀徳と映画

ZAZEN BOYSの向井秀徳。ニューシングル「HIMITSU GIRL'S TOP SECRET」、五感にビリビリくるツェッペリンサウンドにやられてしまった。あらためてとんでもないバンドだと思う。全五曲、ぶっ通し、かつ爆音で聴くことをオススメします。


ゴキゲンなサウンドは言うに及ばず、彼の常軌を逸した妄想力は映画に昇華できそうな気がする。というのも、タワレコ「bounce.com」にて「妄想語り」を連載しているのだが、それがメチャクチャ面白いんである。第四回における「TOSATSUマン」など、三池崇史が監督したらとんでもないことになりそうだ。

向井は川島雄三を愛する無類の映画好きでもあり、塩田明彦や官藤官九郎監督作に楽曲も提供している。フジテレビやアップルとのコラボなどで、じわりじわり知名度が浸透してきているなか、満を持して監督っていう展開はなくはないだろう。個人的には、勢いのあるミュージシャンをごそっと集めて、石井聰亙「爆裂都市」のようなメチャクチャな作品にしてほしい。


関連記事

「bounce.com」
http://www.bounce.com/article/article.php/2022
「ナンバーガール大辞典(改訂版)」
http://www.toshiba-emi.co.jp/capitol/numbergirl/special/dic/sp.htm#KA
posted by ワイ氏 at 02:19| Comment(22) | TrackBack(4) | 邦画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月07日

山下敦弘「リンダリンダリンダ」

さっそく山下敦弘「リンダリンダリンダ」を観た。とある高校の文化祭、最終日の体育館ライブに向けて、4人の少女達がブルーハーツのコピーバンドを組む。ただそれだけの映画。しかし、なぜこれほどまでに心を打たれるのか。2005年夏、いまここに青春映画の金字塔が打ち立てられた。

文化祭、恋、そしてブルーハーツ。この3語だけで言い尽くせるような3日間のできごと。しかし少女らにとっては驚くほどに濃密だ。爆音のブルーハーツに涙したペ・ドゥナ。クラスメイトに恋する前田亜季。自分のプライドのため、がむしゃらにギターをかき鳴らす香椎由宇。寡黙ながら、仲間との絆を人一倍感じていた関根史織。4人がびしょ濡れのまま、裸足で演奏した「終わらない歌」は、熱狂する生徒たちやスクリーンを飛び越え、観ている我々の心の深層にまで易々と達してしまった。そこへ次々と挿入される、色あせた机や青いプールなどのなつかしい風景。頭の隅っこで埃をかぶっていた思い出が、グイっと引っ張りだされるような感覚。ただただ、涙した。


あと、個人的に気になったのは、湯川潮音と甲本雅裕。湯川潮音は、ブレイクが時間の問題のアーティスト。はっぴいえんどのカヴァー「風来坊」には震えた。私は去年、彼女の生歌を聴く機会があったのだが、あまりに美しい音色に時が止まる思いがしたほど。近い将来、日本中を席巻するだろう彼女の歌声、ぜひ一度お聴きください。ちなみに彼女、湯川トーベンの娘です。


甲本雅裕はご存知、甲本ヒロトの弟であり、三谷幸喜の劇団「東京サンシャインボーイズ」の一員である。粋なキャスティングに思わずニンマリ。

関連記事
CINEMA ENCOUNTER SPACE「山下敦弘インタビュー」
http://www.geocities.jp/positionwest3/04_jyouei/special/08_yamashita/index.htm
posted by ワイ氏 at 02:06| Comment(1) | TrackBack(8) | 邦画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月05日

大林宣彦「青春デンデケデケデケ」

一連の大阪芸大ムーブメントを支えたひとり、山下敦弘の新作「リンダ リンダ リンダ」がいよいよ公開だ。ペ・ドゥナのブルーハーツ、すごく期待している。

音楽、とくにバンドをテーマにした邦画でまず浮かぶ傑作は、やはり大林宣彦「青春デンデケデケデケ」だろう。ベンチャーズに憧れた少年が、クラスメイトを誘ってバンドを組む青春映画。

バンドのメンバー達がなんとも個性的だ。松坂大輔に似ている林泰文、当時からオーラ出まくりだった浅野忠信の二人がギター。ベースは、今やVシネ役者の大森嘉之。(今作における大森の演技はかなり完成されており、この年の映画賞を総なめにしている)ドラムスは、「踊る大走査線」にも出たらしいのだが、どこにでてたのかわからないような「存在感のなさ」がウリの永堀剛敏。4人の高校入学から卒業までの成長が描かれていく。

高校最後の文化祭で、彼らがベンチャーズをかき鳴らすシーンがあるのだが、音楽に少しでも関心のある方は気をつけた方が良いかもしれない。むしょうにバンドを組みたくなってしまうから。ほこりまみれのギターを再び手に取りたくなるのは必至である。岸辺一徳、佐野史郎、尾美としのりなど、脇を固める役者たちの存在も欠かせない。観音寺の美しい風景を背に、主人公達がチャリを走らせるところなど、ストライクに青春を感じる。

青春時代にバンドを組んでいた人も、組みたくても組めなかった人も、組もうともしなかった人も、あの文化祭での4人の輝きを目にすれば、それぞれになにかしら、戦慄に近いグルーヴを感じられるのではないだろうか。必見!


posted by ワイ氏 at 13:10| Comment(0) | TrackBack(1) | 邦画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月04日

竹中直人「無能の人」

俳優が映画監督としてデビューする、よくみられることだが、傑作は少ないように思う。
そんな中で、コンスタントに佳作を産み出している監督がいる。竹中直人である。

つげ義春原作「無能の人」が処女作。個人的には竹中作品の中でいちばん好き。
かつて漫画家として名を売った男、助川助三(竹中直人)は、妻と子を持ちながら、定職に就こうとせず、楽をして金儲けができないかを常に考えるような「無能の人」。多摩川の河原で拾った石を多摩川の河原で売る生活を送っている。無能な夫にあきれながらも、小さい子供を育てるためにスーパーのビラ配りをしている妻(風吹ジュン)。そんな家族の貧しい生活を、ユーモアを交えあたたかく描いた作品だ。

竹中映画で特筆すべきは、秀逸なキャスティング。「無能の人」では、ヒロインの風吹ジュンをはじめ、脇役のマルセ太郎、神戸浩、子役の少年が素晴らしく、つげワールドを忠実に表現している。

竹中が、監督として自由にのびのびやっているのが伝わってくる。それまでの役者としてのキャリアが、スタッフとのコミュニケーションを円滑にさせたのだろうか。しきりに役者の後姿をとらえるところなどは、「映画小僧・竹中直人」の好みが如実にでていて素敵だ。さらにゴンチチの癒しの音楽も「切なあたたかさ」を添えてくれる。家族三人が手をつないで河原を歩くラストシーンでは、誰もがほっこりとなるはず。

私にとってこの映画は、常に手元においておきたくなるような、そしてこころにゆとりがあるときにゆっくり見たいような愛すべき作品である。




近く、新作「さよならCOLOR」が公開される。ヒロインは原田知世。観たい。

参考文献

「フィルムメーカーズ 竹中直人」キネマ旬報社
posted by ワイ氏 at 01:41| Comment(0) | TrackBack(1) | 邦画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月02日

映画監督「三池崇史」

映画業界が空前の活況なのだそうだ。数多くの邦画が間断なく製作されている今の状況を見れば、それも納得できる。なんとも幸せな時代の到来です。

こうした状況をつくりだした要因のひとつに、すぐれた監督が続々と現れている点が挙げられる。デジタルビデオとファイナルカットがあれば、誰しもが映画監督になれる現在、プロにはさらなるクオリティー向上が叫ばれてるわけで、そんな中を生き抜いている今の監督達はやはり強い、と思う。

三池崇史という映画監督がいる。彼はかつての邦画暗黒時代を抗い続け、今なお第一線で活躍する存在。彼のスゴいところは、いい意味での「こだわりのなさ」にあると思う。彼が今まで取り組んできた映画をみても、とにかくさまざまなジャンルがあることに驚く。アイドルプロモ映画「アンドロメディア」から、アングラ極道映画「牛頭」まで、とにかく目の前のものをがむしゃらに撮りまくってるような印象をうける。(事実、撮りまくっている。)自主制作というポジションを維持しつつ、自分の世界に徹底的にこだわる塚本晋也とは真逆な位置にいると言っていい。

「おんなじジャンルの映画ばっかり撮ってたらダメ。そのジャンルの仕事しかこなくなるから」っていうのが彼のポリシーであり、そんな中あの「DEAD OR ALIVE 犯罪者」が誕生した。誰もがずっこけたあのラストシーンを観れば、彼の「一介のVシネ監督で終わりたくない」という思いがひしひしと伝わる。三池の世界を手軽に感じることのできる映画だ。


欧米では早くから三池研究が盛んだったが(TIME誌にも載ったことがある!)日本でもようやく評価されるようになってきた。そんな中いよいよ、彼の新作「妖怪大戦争」が、満を持して公開される。試写会のレポートによれば、かなりマニアックな内容になっているらしく、非常に楽しみ!

引用文献

「アサヒドットコム」
http://www.asahi.com/culture/update/0801/017.html?ref=rss

「シネマ de スイート(ブログ版)」
http://blog.goo.ne.jp/nx2_alice/e/727aa8281bf1aeafab64978c1a1b2d37

三池崇史著「監督中毒」

posted by ワイ氏 at 07:35| Comment(2) | TrackBack(2) | 邦画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

塚本晋也「鉄男」

監督「塚本晋也」について。塚本晋也の日本における知名度はまだまだ低いように思う。しかしながら、海外、とくにヴェネチアにおける彼の評価は絶大である。北野武が「HANABI」で金獅子賞を獲った「ヴェネチア映画祭」で、塚本が審査員を務めていたという事実は意外に知られていない。最新作「ヴィタール」も、あまり話題にならなかったような印象を受けた。自主制作の35ミリ作品というのは驚くべきことなのだが‥.

塚本晋也のなにがすごいかって、自分のイメージを100パーセント具現化するために、製作資金を自分自身でかき集める、自主制作映画監督であるにもかかわらず、それが商業的にも成功し、かつ世界で高い評価を受けているところにほかならない。

塚本と言えば、世界中を震撼させた劇場デビュー作「鉄男」を誰しもが思い浮かべるだろう。男(田口トモロヲ)が朝、鏡に向かってヒゲを剃っていると、右頬に小さな鉄くぎのようなものがささっているのに気づく。そこから加速度的に鉄に浸食されていき、ついには鉄のかたまりとなって、やつ(塚本晋也)とのグロテスクかつパワフル、それでいてエロい肉弾プロレスを展開させる、エロギャグホラー映画。

随所にちりばめられたコマ撮りは、PFFでグランプリを獲った8ミリ時代の傑作「電柱小僧の冒険」からすでに取り入れていた方法で、「鉄男」ではそれがさらに洗練され、作品のスピード感を増幅させるのに充分機能している。田口トモロヲ、藤原京、六平直政、石橋蓮司など、当時のアングラシーンを支えた役者達の怪演も見逃せないところだ。

「鉄男」の放つあまりのエネルギーは、観るものを選んでしまうかもしれない。ただ、ひとたびハマってしまうと、何度も観ずにはおれなくなる中毒性を秘めている点は強調したい。
とにもかくにも圧倒されるのひとこと。めいっぱいテレビに近づいて、爆音でご鑑賞いただきたい、とは塚本の弁。どうかこころしてご覧ください。


追記。塚本晋也は役者としても素晴らしい。「演技が上手い」という表現は、この人のためにあると言っていいほど、静かな役からヤバい役まで、飄々と演じ切ってしまうのはお見事。自身の監督作にもほとんど出演し、圧倒的な存在感を見せる。他の監督の作品にも多数出演。三池崇史「DOA2」、「殺し屋1」、竹中直人「119」、利重剛「クロエ」がとくにオススメ。作品の空気が読めているというか、溶け込みっぷりはもちろん、個人的には声がよいと思う。


さらに追記。今年の仙台短編映画祭2005に、ゲストとして来場するらしい。

引用文献

「Shortpiece!blog」
http://shortpiece.blog9.fc2.com/blog-entry-27.html

「塚本読本 普通サイズの巨人」キネマ旬報社


posted by ワイ氏 at 03:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 邦画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。