2005年08月02日

塚本晋也「鉄男」

監督「塚本晋也」について。塚本晋也の日本における知名度はまだまだ低いように思う。しかしながら、海外、とくにヴェネチアにおける彼の評価は絶大である。北野武が「HANABI」で金獅子賞を獲った「ヴェネチア映画祭」で、塚本が審査員を務めていたという事実は意外に知られていない。最新作「ヴィタール」も、あまり話題にならなかったような印象を受けた。自主制作の35ミリ作品というのは驚くべきことなのだが‥.

塚本晋也のなにがすごいかって、自分のイメージを100パーセント具現化するために、製作資金を自分自身でかき集める、自主制作映画監督であるにもかかわらず、それが商業的にも成功し、かつ世界で高い評価を受けているところにほかならない。

塚本と言えば、世界中を震撼させた劇場デビュー作「鉄男」を誰しもが思い浮かべるだろう。男(田口トモロヲ)が朝、鏡に向かってヒゲを剃っていると、右頬に小さな鉄くぎのようなものがささっているのに気づく。そこから加速度的に鉄に浸食されていき、ついには鉄のかたまりとなって、やつ(塚本晋也)とのグロテスクかつパワフル、それでいてエロい肉弾プロレスを展開させる、エロギャグホラー映画。

随所にちりばめられたコマ撮りは、PFFでグランプリを獲った8ミリ時代の傑作「電柱小僧の冒険」からすでに取り入れていた方法で、「鉄男」ではそれがさらに洗練され、作品のスピード感を増幅させるのに充分機能している。田口トモロヲ、藤原京、六平直政、石橋蓮司など、当時のアングラシーンを支えた役者達の怪演も見逃せないところだ。

「鉄男」の放つあまりのエネルギーは、観るものを選んでしまうかもしれない。ただ、ひとたびハマってしまうと、何度も観ずにはおれなくなる中毒性を秘めている点は強調したい。
とにもかくにも圧倒されるのひとこと。めいっぱいテレビに近づいて、爆音でご鑑賞いただきたい、とは塚本の弁。どうかこころしてご覧ください。


追記。塚本晋也は役者としても素晴らしい。「演技が上手い」という表現は、この人のためにあると言っていいほど、静かな役からヤバい役まで、飄々と演じ切ってしまうのはお見事。自身の監督作にもほとんど出演し、圧倒的な存在感を見せる。他の監督の作品にも多数出演。三池崇史「DOA2」、「殺し屋1」、竹中直人「119」、利重剛「クロエ」がとくにオススメ。作品の空気が読めているというか、溶け込みっぷりはもちろん、個人的には声がよいと思う。


さらに追記。今年の仙台短編映画祭2005に、ゲストとして来場するらしい。

引用文献

「Shortpiece!blog」
http://shortpiece.blog9.fc2.com/blog-entry-27.html

「塚本読本 普通サイズの巨人」キネマ旬報社


posted by ワイ氏 at 03:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 邦画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。