2005年09月18日

矢口史靖の女の子映画

矢口史靖。「ウォーターボーイズ」、「スイングガールズ」などのヒットにより、これからも青春映画のオファーが絶えないことと思う。しかし、矢口史靖の真骨頂は、「ひみつの花園」をはじめとする、一連の「女の子」映画にこそある。

「ひみつの花園」は、西田尚美主演の傑作突き抜けコメディー。お金を数えることが好きだった主人公は、銀行員として働いている。ある日、その銀行に強盗が入り、自分が人質として連れ去られてしまう。しかし、その車が事故を起こし、5億円入りのスーツケースは水の底に沈んでしまう。主人公は川に転落するも、なんとか生きのび、沈んだ5億円をどうにかして手に入れようと動き出す、という話。

展開の早さとマンガっぽい馬鹿馬鹿しさに、思わず笑ってしまう。あとは西田尚美というキャスティングが秀逸。どこか間が抜けているんだけど、お金という目標に貪欲にがっついてゆく女の子を、魅力たっぷりに好演している。鈴木卓爾と共同監督した近作、「パルコ・フィクション」でも同様。真野きりなや唯野未歩子を、そういう「女の子」としてキャスティングしており、彼女達が、どこかおかしな世界観の中で振り回されてゆくさまをナンセンスに描いている。

「んなアホな」って思うんだけどつい笑う。さらに、主人公の女の子のホノボノな魅力も手伝って、ホノボノ引き込まれていく。これが「低予算系矢口映画」の特徴。無駄なシーンをポンポンカットして、ドタバタと話を展開させてゆく手法も、マンガ世代には小気味いい。週末のおやつタイムのお供にオススメです。



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2005年08月18日

クリント・イーストウッド「ミリオンダラー・ベイビー」

「ミリオンダラーベイビー」を観た。イーストウッドらしい傑作。前半までは、ヒロインのヒラリースワンクがボクサーとして大成していく、まさにハリウッド映画という感じのサクセスストーリーが展開されていくのだが、後半からは急転。あまりにもやるせないエンディングへと収斂していく。(今作はヒラリースワンクのための映画といってもいいほど、彼女が輝きまくっていた。まずあんまり美人じゃないところがいいやね、感情移入しやすいというか。アカデミー賞、異論ないんじゃないでしょうか。)

前作「ミスティックリバー」もそうだったけど、イーストウッドはそういう「やるせない」思いを真正面からとらえることのできる希有な才能を持っている。自身は「ダーティーハリー」のような、勧善懲悪の典型的作品に出演しまくってきたにもかかわらず、「ハリウッド映画」の流れに真っ向から逆らうようなすさまじい映画を監督している。あれを才能と言わずしてなんと言おう。74歳。故・石井輝男より7つも年下。まだまだたくさんの映画を撮ってくれるだろうから、ハリウッドも安泰だ。

「優れた監督はまた、優れた役者でもある」とはよく言ったものだ。日本では北野武、塚本晋也、伊丹十三、竹中直人なんかがそう。強烈な個性をもった役者こそが、強烈な世界観を体現できるのかもしれない。だから怪優の神戸浩とか、案外とてつもない映画を撮っちゃうんじゃないだろうか、と期待してしまう。

関連記事

「神戸浩のプロフィール」
http://dir.yahoo.co.jp/talent/6/m93-1016.html



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2005年08月16日

「ヒトラー最期の12日間」

「ヒトラー最期の12日間」を観る。ソ連軍がベルリンに侵攻しはじめてから、ヒトラーが自殺し、ドイツが無条件降伏するまでを、二時間半にわたって濃密に描ききった作品である。

映画の中心的な舞台は、そこかしこに死体が転がるベルリン市街ではなく、ヒトラーが隠れていた地下施設。閉塞的な空間に身を置き、勝ち目のない現状から目を背け、半ば錯乱しながら、妄想でしかない自らの戦略をまくしたてるヒトラー。その姿にもはやかつての勢いはない。指揮系統は麻痺し、ベルリンの腐臭はますます広がっていく。ベルリン制圧まで、もって20時間。参謀のささやく声に、もう終わりだと悟ったヒトラーは、愛人エヴァ・ブラウンとともに自殺する。

ヒトラーの秘書ユンゲを中心に進行する映画ゆえ、ユダヤ人虐殺についてはまったく触れられない。ので、ヒムラーやゲーリングなど、ユダヤ人に悪魔のような仕打ちをした側近達が、困った独裁者を抱える普通の人間として描かれていたのは新鮮。人間として描いたことで話題となったヒトラーの性格は、手塚治虫「アドルフに告ぐ」におけるそれに近かった気がする。

まあなにより、ヒトラーを演じた名優ブルーノ・ガンツが素晴らしかった。ダウンタウン松本人志が、さんざん憎んだ父親の弱りゆく姿を見て、「5秒で殺せる」と感じたような、そんな切ない立ち姿を見事スクリーンに具現化させたのである。

地下施設内部の視点から、骨太に史実を切り取った作品。見応えはある。良くも悪くもNHKのドキュメンタリーという感じであった。
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2005年08月14日

生瀬勝久と映画

生瀬勝久。いまもっとも気になる役者のひとりである。大きな目をさらに見開いて、これでもかと笑いをとってくる三枚目ぶりも見事だが、シリアスな役どころもなんなく演じてみせるところに、役者としてのただならぬ力量を感じる。

テレビドラマ、演劇においては、いまや顔を見ない日はないほどの人気ぶりだが、こと映画においては目立った活躍をみせていないように感じる。堤幸彦「劇場版トリック」は例外として、わたしの記憶にあるのは「トキワ荘の青春」における端役ぐらいしかない。あれだけの多忙ぶりからして、拘束時間の長い映画の仕事は物理的に難しいところもあるのかもしれない。

しかし、三谷幸喜の新作映画「THE有頂天ホテル」にて、いよいよ「映画俳優・生瀬勝久」が誕生する(はず)。三谷幸喜は役者へのダメ出しが厳しいことで知られているが、真田広之、唐沢寿明、生瀬勝久については、つねに手放しで、全幅の信頼を寄せているそうだ。そんな愛されぶりからして、今作ではきっと生瀬の熱演がたっぷり観られるに違いない。そろそろクランクアップらしいので、今から公開が楽しみ!

関連記事

「THE有頂天ホテル」公式サイト
http://www.uchoten.com/

参考文献

「三谷幸喜のありふれた生活」
posted by ワイ氏 at 06:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 邦画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サム・ライミ「スパイダーマン」

なぜ「死霊のはらわた」の監督サム・ライミがヒーローものを?って思いだけが原動力になって観ただけだったので、さして期待もしてなかったけど、やっぱりすごい。ハリウッドはこうでなくちゃ。脳みそなしで、何も考えないで味わえる快楽がここにある。すごく面白かった。

ガリ勉でいじめられっ子のトビーマグワイアが、遺伝子操作されたスーパースパイダーに噛まれ、信じられないパワーを手に入れる。そして自分でデザインした「スパイダー」のコスチュームを身に纏い、ニューヨークにはびこる悪い奴らを懲らしめていく話。ちょっと前に「俺はスパイダーマンだ!」と叫び、ビルをよじ登ってた人が現実にいたけど、その気持ちもわかる。スパイダーマンは世界のインドア達の憧れの的なのだ!

キャラクターもぶっ飛んでて素敵だ。特にヒロインが素晴らしい。おそらく全世界の女子を敵にまわすであろう、最低な女なんである。高校時代はガキ大将とつきあってて、トビーには高嶺の花だった彼女。卒業後にはトビーの親友と付き合っていたのだが、窮地をスパイダーマンに救ってもらい、そこでべた惚れ。にもかかわらず結局、最後まで彼女のそばで優しくしてくれたトビーに告白するという始末。30分に1回は他の男に振り回される、自主性ゼロの女の子。こんなヒロイン久々に見た。

こんなマンガっぽいキャラがうようよいるもんだから、多用されるCGも違和感なく受け入れられる。演出もいい。悪役のウィレム・デフォー(いい顔をしている!)が、天井からしたたる血の音で、スパイダーマンの正体に気付き始めていくっていうシーンなんかすげえインパクト。ニューヨークを縦横無尽に飛び回るスパイダーマンの活躍ぶり、必見です。

posted by ワイ氏 at 05:19| Comment(0) | TrackBack(1) | 洋画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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